それでも好きやねん 第18話|縮まる距離

歌い始める前、俺は理絵と少し距離を取った。

そして、理絵の方を見つめながら歌い始める。

歌詞はすべて頭に入っている。

だから画面を見る必要なんてなかった。

俺の視線は、ずっと理絵だけを追っていた。

やがて一番が終わり、間奏に入る。

そのタイミングで、俺はゆっくりと理絵の隣へ移動した。

胸の鼓動が少しずつ速くなる。

再び歌が始まる。

右手にはマイク。

そして左手を、そっと理絵の肩の後ろへ伸ばした。

理絵は歌詞を見つめたまま、まだ俺の動きには気付いていない。

この一瞬で、二人の距離は大きく変わろうとしていた──。

▶ 第19話へ続く…

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