それでも好きやねん 第20話|初めてのキス

俺は理絵の顔を見つめながら、ゆっくりと距離を縮めていった。

さっきまで楽しそうに話していた理絵も、今は何も言わず、俺の顔を見つめている。

俺の歌にうっとりしていたのか──。

理絵は、そっと瞳を閉じた。

(……)

その仕草を見た瞬間、俺の胸はさらに高鳴った。

もう後戻りはできない。

俺はゆっくりと顔を近付けた。

そして──。

唇が重なり合った……。

ほんの一瞬のはずなのに、時間が止まったように感じた。

最初は少し緊張していた理絵だったが、呼応するかのように、すっと体の力が抜けていくのが分かった。

理絵は、俺を拒むことはなかった。

その温もりを感じながら、俺はもう一度、そっと唇を重ねた。

カラオケの部屋には、次の曲のイントロだけが静かに流れていた。

俺と理絵は、しばらく何も言わなかった。

ただ、お互いの顔を見つめていた。

この瞬間、俺は確信した。

理絵との距離は、もう海で出会った時とは違う──。

▶ 第21話へ続く…

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